ごあいさつ

慶應義塾大学医学部外科(心臓血管)教授
 志水秀行

慶應義塾大学 心臓血管外科を代表してご挨拶申し上げます。

私たちは、心臓・血管の疾患を有する患者さんに対して、高いレベルの外科的技術を駆使して治療を行っている専門家集団であり、大きく3つのミッションに取り組んでいます。

第一のミッションは、患者さんの診断や治療を行う“臨床”です。

当科は慶應義塾大学外科学教室を構成する5つの診療科(一般・消化器外科、小児外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管外科)の中の1つであり、1951年に誕生しました。翌年に第1例目の手術が行われ、その後、先天性心疾患、後天性心疾患、大動脈疾患の3分野がバランス良く発展してきた伝統のある教室です。黎明期から今日に至るまで、“臨床の慶應”らしく、良好な治療成績とともに、数多くの輝かしい業績を達成してきました。最近は、低侵襲心臓手術(MICS)、大動脈ステントグラフト、ハイブリッド手術など低侵襲先進医療の分野においても世界トップレベルの手術数と治療成績を誇り、心臓血管外科治療のパラダイムシフトを牽引しています。今後は、さらに新分野への挑戦を加速させ、新しい治療体系を確立していきたいと思っています。

第2のミッションは“教育”です。

私たちは、目の前の患者さんに全力を尽くすと共に、若い世代を育てることも非常に重要な使命と考えています。
諸先輩から教えを受けた、あるいは自分の経験の中で身につけた知識・技術・信念などをしっかりと後輩に受け継ぎ、私たちと同じ信念を持った次の世代が将来に大きな希望を抱き、大いに活躍できるように、力を尽くしたいと思っています。幸い、関連施設として非常にアクティビティーの高い病院も多くありますので、仲間とともに一層のレベルアップを図ってこれらを支え、若手にも活躍の場を与えて、実力のある心臓血管外科医をしっかりと育成していきたいと考えています。

第3のミッションは“研究”です。

私たちは、常により良い医療を実現するために、高みを目指し続けたいと考えています。
これまでも、臓器保護法、再生医療、新術式の開発などオリジナリティー溢れるいくつもの研究を行ってきました。また、臨床データの解析、国内外の主要施設との連携による共同研究など、臨床と深く結びついた研究を現在進行形で行っており、これらは今後の心臓血管外科の発展に大きく貢献するものと期待しています。

私は、志を共有する仲間の輪を広げつつ、力を合わせて最高のチーム医療を実践できることこそが、慶應らしい医療の形であると確信しています。私たちには、学内外、国内外に多くの信頼できる友人がいます。今後、これらの方々と協力しながら、自分たちもチームの一員としての責任をしっかりと果たし、医学、医療の発展のために貢献したいと考えております。

これからも皆様のご理解とご協力を賜りたく、何卒、宜しくお願い申し上げます。

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