WORK SHOP

2011 WORKSHOP 報告

2011年12月10日、慶應義塾大学病院新棟11階大会議室と中央手術室を中継で結んで『KEIO MINI-MITRAL WORKSHOP〜Live Surgery & Intensive Lectures for Mini-Mitral Surgery〜』が開催されました。

 

小切開アプローチによる僧帽弁手術は、低侵襲手術として近年ますます注目を浴びるようになり、本邦においても小切開・僧帽弁手術のプログラムを開始する施設が急増しています。一方で小切開手術特有の様々なTips&Pitfallsが分からず、思い通りにプログラムを発展させることが出来ずに悩む外科医や施設も少なくはないのが現状です。一方、慶應義塾大学おいては1990年代終盤から小切開・僧帽弁手術のプログラムを開始し、弁形成・弁置換併せて300例以上、心房中隔欠損症手術を含めると550例以上を施行しており国内随一の経験数を誇ります。チーム医療の重要性を含めた小切開・僧帽弁手術のすべてを伝えるためにWorkshopを国内で初めて開催する運びとなりました。

 

慶應義塾大学病院の低侵襲心臓血管外科手術の第一人者である四津良平教授によるライブ手術を軸に、全国の研究機関より前原正明先生(防衛医科大学)、加瀬川均先生(榊原記念病院)、杭ノ瀬昌彦先生(東京医科大学)、柴田利彦先生(大阪市立総合医療センター)をお招きして小切開・僧帽弁手術について講義をしていただきました。ライブ手術を施行するに際しては日本心臓血管外科学会理事会および慶應義塾大学医学部倫理委員会の承認を得ました。

当日は朝早い時間にもかかわらず心臓血管外科医だけでなく、麻酔科医、循環器内科医、臨床工学技士、看護師、また研修医や学生など150名以上が全国からご参集いただきました。ライブ手術では実際に大会議室のスクリーンに手術を映し出すとともに、更には音声をつなぐことで、術者と参加者が一体となって質疑応答を行い積極的なディスカッションが交わされ、大変有意義な情報交換の場となりました。術中の小さな疑問点や問題点、効率的な手技手法や解決方法を一つ一つ現場より丁寧に伝えることで、お互いの知識や経験、臨床におけるそれぞれの問題点について議論を交わしました。

またライブ手術と平行して院内の先生だけではなく、お招きした他の研究機関の先生方にも小切開・僧帽弁手術についての現状、患者選択、麻酔、人工心肺、術後管理などについて講義をいただきました。約8時間に及ぶライブ手術の間、積極的なディスカッションは止むことがなく、さまざまな分野の観点からの活発な議論は本プログラムの目的でもある、まさに大盛況ともいうべき集大成となって終演を迎えることができました。

小切開アプローチは慶應義塾大学における僧帽弁手術の標準手術となっており、それをいかに安全に普及化させていくのかという点について、標準化を先駆けるわれわれ慶應義塾大学の使命でもあります。低侵襲な僧帽弁手術を待ち望む患者にとって一番の福音となるということを第一に、これからも他の医療機関と連携を図りながら、臨床医学の情報収集や臨床医の育成の基盤構築の効率化を図っていきたいと考えています。この革新的な幕開けを基点に、『小切開アプローチによる僧帽弁手術の標準化』が邁進できるように慶應義塾大学の心臓血管外科医が一丸となって、常に有意義な情報発信ができるように臨床と研究を重ねていきたいと考えています。

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慶應医学部新聞2月号掲載記事

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