小切開心臓手術 (MICS・ポートアクセス手術)

僧帽弁閉鎖不全症、心房中隔欠損症、心臓腫瘍(左房粘液腫)

小さな傷の心臓手術

小切開僧帽弁手術の傷

慶應義塾大学では1998年以来一貫して小切開心臓手術(MICS・ポートアクセス手術)で日本をリードしてきました。2015年6月までに合計730例と突出した経験数を誇り、年間50から70例前後の小切開心臓手術を行う低侵襲心臓外科治療のトップランナーです。

若い女性でも傷が気にならない心臓手術

当院の手術は右前側胸部(乳頭の少し下あたり)を5cmほど切開することで、僧帽弁形成術や心房中隔孔閉鎖術などを行います。通常の心臓手術では胸の真ん中に首からみぞおちまで大きな傷が付きますが小切開心臓手術では側胸部の小さな傷ですみ、術後の傷もそれほど気になりません。特に女性の場合は乳房の下のしわに沿って切開するため、殆ど傷が分からないくらいになります。もちろん水着や胸の大きくあいた服を着ても心臓手術の傷は全く分かりません。若い女性には是非この手術をお薦めしますが、比較的高齢であってもあるいは男性であっても傷が小さいこと、傷が目立たないことはとても良いことです。

回復・社会復帰が早い心臓手術

心臓手術をした方が良いと言われても仕事が・・・という方も多いと思います。当院の小切開心臓手術なら傷が小さいことと胸骨を温存していることで術後のリハビリが迅速にすすみますので、入院期間は術後5日から10日程度で済み、最も早い方で術後2週間で、平均的には3週間から4週間で仕事への復帰をされてます。働き盛りで昇進を控えている、受験を控えている、自営業で店を長期閉めるのは不可能、など、様々な事情がおありだと思います。しかし、心臓の病気は命に直結する重要な病気です。「手術しましょう」と言われたら、しっかり直して早期社会復帰を果たしましょう。小切開心臓手術はそんな時にお役に立てる手術です。

標準手術としての小切開心臓手術

当院では僧帽弁形成術、心房中隔欠損孔閉鎖、心臓腫瘍摘出術などでは小切開心臓手術(MICS・ポートアクセス手術)を「標準手術」としております。特別な理由が無い限りは小切開で手術を行う方針としております。これは豊富な経験に裏打ちされた安全な手術法と手術チーム作りが確立されているからです。現在年間50から70例の小切開で行っており、さらに手術チームの練度が高まっております。

98%の僧帽弁形成完遂率

小さい傷の手術は魅力だけれども、ちゃんと病気が治らなければ困る。当然のことです。当院では僧帽弁閉鎖不全症に対する僧帽弁形成完遂率は98%です。僧帽弁の変性や破壊が相当進んでいない限りは自分の僧帽弁を残したまま逆流を止める僧帽弁形成術が施行可能です。僧帽弁形成術は僧帽弁閉鎖不全症の標準手術になったとはいえ2012年の日本胸部外科学会の調査では単独僧帽弁のうち僧帽弁形成術は66%にしか過ぎない事からすると、当院はとても高い水準の僧帽弁形成率を達成しております。

内鏡視下心臓手術

当院で行う小切開心臓手術は手術用内視鏡を用いた鏡視下手術です。腹腔鏡下胆嚢摘出術をはじめ、胃や大腸、肺の手術も内視鏡手術が主流となっています。慶應義塾大学は内視鏡外科手術のメッカであり、心臓手術においても他に先駆けて内視鏡手術を導入してきました。内視鏡を用いる事で傷を小さくするとともに豊富な経験で安全性を担保しております。最先端の医療技術の粋を集めた手術をご提供します。

心房中隔欠損症も小切開手術で

現在、心房中隔欠損症の治療はカテーテルで行われるのが標準となっています。しかし、穴の位置や大きさによってはあるいは金属アレルギーのある方など、カテーテル治療では安全に治せない場合でも、慶應義塾大学であれば小切開手術で治療可能です。若い患者さん、女性の患者さんが多いこの病気だからこそ、そして、通常はカテーテルで治療可能な病気だからこそ、我々は小さい傷で低侵襲な外科治療を提供します。

小切開心臓手術(MICS・ポートアクセス手術)外来

TEL: 03-5363-3804 (直通)
FAX: 03-5379-3034(直通)
e-mail:keio.cvs.2331@gmail.com

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