VAD(補助人工心臓)
補助人工心臓(Ventricular Assist Device, VAD)は、心臓のポンプ機能を機械的に補助する装置で、重症心不全患者に対して使用されます。目的や構造によってさまざまなタイプがあります。
当院は、補助人工心臓実施施設、植込型補助人工心臓管理施設(VAD協議会認定)です。
基本概念
VADは、心室から血液を吸引し、大動脈に送り出すことにより、心拍出を機械的に補助ます。目的は以下の3つに大別されます:
| 用語 | 意味 | 主な目的 |
|---|---|---|
| Bridge to Transplant (BTT) | 移植までの橋渡し | 移植待機中の循環維持 |
| Destination Therapy (DT) | 永久補助 | 移植非適応例での長期治療 |
| Bridge to Recovery (BTR) | 回復までの補助 | 一時的な心筋機能回復を目指す |
主なVADの種類
| 種類 | 補助部位 | 主な製品 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| LVAD(左室補助) | 左心室→大動脈 | Biofloat(体外式) HeartMate 3(植込型) |
最も一般的。難治性左心不全に使用。 |
| RVAD(右室補助) | 右心室→肺動脈 | Biofloat(体外式) | 右心不全に対する補助。 |
| BiVAD(両心補助) | 両心室 | Biofloat(体外式) | 両側心不全に対応。 |
Heartmate 3
Biofloat
構造と血流経路
典型的なLVADの構造は次の通りです:
- 吸入口カニューラ:左心室心尖部に設置し血液を吸引
- ポンプ本体:体内または体外に設置
- 送出口カニューラ:上行大動脈へ血液を送出
- ドライブライン:ポンプ制御・電源供給を体外コントローラへ連結
➡ 血流経路:
左心室 → ポンプ → 大動脈 → 末梢循環
当科では、胸骨正中切開を回避する、低侵襲なアプローチ法(写真)も実践し、治療中も積極的にリハビリを施行し、早期回復を図っています。
合併症
- 血栓塞栓症(脳梗塞など)
- 出血合併症(抗凝固療法による)
- 感染(特にドライブライン感染)
- 機械的トラブル
- 右心不全
実績と成績
慶應義塾大学病院は、Impella・補助人工心臓の実施施設です。心原性ショックの患者さんを積極的に受け入れて治療を行っています。 2025年9月に植込型補助人工心臓の管理施設の承認を取得し、植込型補助人工心臓装着患者さんの外来診療を開始しています。 植込型補助人工心臓・心臓移植適応の患者さんについては、実施施設へ紹介させて頂きます。
慶應VADチーム連絡先
当院では、慢性期・急性期に関わらず心不全患者さんを積極的に受け入れています。 心原性ショック、重症心不全、VA-ECMO、Impella装着状態での搬送の受け入れも行っています。 症例の依頼については、下記までご連絡ください。
心臓血管外科ホットライン:070-4833-2561
VADチーム連絡メール:keio_vad@outlook.jp
