心臓血管外科研修を始めようとしている皆さんへ

慶應義塾大学　心臓血管外科を代表してご挨拶申し上げます。

心臓血管外科は、人間の体の中で最もダイナミックな働きをしている心臓および血管に対して手術を行う診療科です。

循環器領域の治療において外科手術が果たす役割は非常に大きく、いくつかの疾患では外科手術のみが救命の手段となっている現実があります。高齢化社会に伴って循環器疾患および心臓血管外科手術数は年々増加しており、心臓血管外科医のニーズはますます高まっています。一方で、心臓血管外科手術は他分野に比べて手術のリスクが高く、執刀医によって治療成績が大きく異なるという厳しい現実があります。

ですから、しっかりした技術を身に付けた心臓血管外科医を育成することはわれわれにとっても社会全体とっても重要な課題です。皆さんが将来この分野で活躍したいと興味を持っているのならば、研修においてしっかりした技術を身につけることが不可欠です。

幸い、慶應義塾大学の心臓血管外科は、先天性心疾患、後天性心疾患、大動脈疾患の主要3分野がバランスよく発展してきた伝統ある教室で、過去においても現在においても、日本のトップレベルの症例数と世界のトップレベルの治療成績を誇っています。最近は、現代医学の粋を結集して行うような難易度の高い手術に加えて、低侵襲心臓手術（MICS）、大動脈ステントグラフト治療、経カテーテル的大動脈弁置換術（TAVI）、ハイブリッド手術など最先端低侵襲治療の分野でも代表的施設としての地位を確立しています。

大学以外の関連施設も非常に充実しています。豊富な手術症例数を持つ関連施設が多いことは、各施設との連携によって研修中に多くの手術経験を積めるだけでなく、研修後において、皆さんが実際に活躍できるチャンスが多いことにつながります。

また、しっかりとした指導体制のもとで基礎研究、臨床研究を行う機会も用意されており、学会発表、論文執筆、学位取得などAcademic surgeonを目指す道も切り拓かれます。

海外留学を希望する者にとっても恵まれた環境にあり、実際に多くの教室員が欧米やアジアにおいて臨床留学の機会を得ています。

当科では、しっかりとした心臓血管外科全般の基礎研修を行った上で、最新の技術を駆使して行うダイナミックで難易度の高い外科治療から低侵襲治療までをこなせる心臓血管外科医の育成を目指しています。

もし君がこの領域に興味を持っているのであれば、是非とも日本や世界のトップレベルで勝負できるための修練を受けられる臨床研修のチャンスを手にして下さい。われわれと一緒に最高の技術をマスターして、難しい病気に苦しんでいる多くの患者さんの命をともに救っていきましょう。

慶應義塾大学心臓血管外科には、君たちの活躍の場が数多く用意されています。是非とも、われわれと一緒に明るい未来を築きましょう。